特許法 趣旨問題(発明)

問:
物にはプログラム等を含むこととした趣旨(2条3項)

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回答例:
現行特許法(昭和34年法)制定時には、譲渡、貸し渡しとして規定された市場における取引・流通行為の対象となる「物」としては、有体物のみを念頭に置けば保護対象として十分であると考えられた。
しかし、近年の情報技術の進展に伴い、プログラム等の情報財の経済活動における価値が急速に増大してきている。特にプログラムについては、インターネット等の情報通信手段の発達により、無体物でありながら、それ単体で有体物と同様に流通しているという実態も生じており、特許法において、従来の「物の発明」と同様の保護が強く求められていた。
これに対応し、特許庁では、2000年(平成12年)に改訂特許・実用新案審査基準を公表し、「コンピュータが果たす複数の機能を特定する「プログラム」は、「物の発明」として請求項に記載することができる」とする運用を開始した。この審査基準の改訂により、2001年(平成13年)1月10日以降に出願された特許出願については、記録媒体に記録されるか否かとは無関係に「プログラム」自身を、直接「物の発明」として請求項に記載することが可能となった。
なお、この改訂審査基準が適用される特許出願においても、それ以前と同様、プログラム関連発明を、「方法の発明」、「装置の発明」、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の発明」等として請求項に記載することは可能である。
上記審査基準の改訂による対応については、おおむね肯定的な評価が得られたものの、民法では、「本法ニ於テ物トハ有体物ヲ謂ウ」(民85条)と規定されていることもあり、現行法の解釈のみで、「物」にプログラム等の情報財を含めることに対する懸念を指摘する意見もあった。このため、プログラム等の情報財が特許法における「物」に含まれることを、立法上の措置により明確化することが求められていた。
また、ネットワークを通じたプラグラム等の送信や、ネットワークを通じたASP(Application Service Provider)型のサービスにおいては、送信者やサービス提供者の手元にも元のプログラム等が残るという有体物にはない性質がある。このため、改正前の特許法第2条3項の規定における「譲渡」、「貸渡し」といった、権利、財産等の移転を前提とした用語のままでは、このような性質を持った新しい流通、サービス形態が物の発明の実施に含まれるのか明確でないとして、立法上の明確化を図るべきとの指摘がなされていた。
これらの点を踏まえ、プログラム等の無形の情報財についても特許権による適切な保護が図られるよう、特許法上の「物」にプログラムが含まれること、及び、ネットワークを通じたプログラム等の提供等の新たな流通・サービス形態が発明の実施に含まれることを明確にするための改正を行うこととした。(平成14年改正法解説7~9頁)

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